
デンドロビウム・キンギアナムは数年前に我が家にやってきた小さなランである。
昨年、鉢一杯にたくさんの花を咲かせたのは4月だったと記憶している。
今年はまだ1月寒の内、寒々とした部屋の中での開花である。
私が最初にキンギアナムを手に入れたのは近くのラン蘭植物園に行ったときであった。
園内をひとまわりしてその華やかさ、鮮やかさ、不思議さを堪能した後のショップで見つけた蘭である。
オレンジ色の花が溢れるように咲いて、上品や豪華とはひと味違う愛らしさに惹かれて手に入れることにした。
しかし残念なことに、それは1年後には無残な姿となって命を失い、我が家を去った。
育て方が悪かったのだろうと、反省しつつ申し訳ない気持ちとともに悔やんだことを覚えている。
今ある白花は、あまり手を掛けられない素人の私にも上手につきあって咲いてくれている。
弱っては持ちこたえてを繰り返しての開花、そういう意味では性質は丈夫なのかも知れない。
今のところ花茎は5本、ひとつの茎に5~8の蕾の中から一つ二つと咲き出しつつある。
これから白い賑わいの本番となる。楽しみだ。
白き蘭やがて匂へり見つゝあれば (加藤楸邨)