
オオイヌノフグリを見つけた。
ぽつぽつと、草むらにその色がある。
まだ地を這うように広がって咲くというほどではない。
それでも、この青紫の花を見ると「春遠からじ」と思う。
その名を漢字で書けば「大犬の睾丸」となる。
こんな可憐な花に何故かと思って調べると、
「果実の形がイヌのふぐり(睾丸)に似ていることから和名がついた」とある。(山崎 敬)
そうなのかと思いつつ、よく考えたらこの花に果実があることを知らなかったし、見たこともない。
本当にそうだろうか、いつかこの目で確かめてみよう。
それにしても、花の色や形からではなく、果実に名が由来するというところもまた面白い。
観察者が犬好きでなければできない発想かもしれない。
私なら、さしずめ「春告げ草」や「春蛍(はるぼたる)」、「群星草(むれぼしそう)」などと名づけたことだろう。
いぬふぐり星のまたたく如くなり (高浜虚子)