
外は雪である。
久しぶりの白い世界、景色が絵のようだ。
雪を受けた枝にヒヨドリが遊ぶ。
シロハラは嘴を地に刺しながら柿の下を歩く。
そんな様子を、私はすこしよどんだ頭で眺める。
昨日は特別な新年会だった。
10数年ぶりの顔もある。
若い頃の懐かしいエピソードが次々に出てくる。
あんなことも、こんなこともとそれぞれの口が映像を甦らせる。
気がつけば翌日を迎える時間が近づいていた。
私にとってこんな時間まで起きていたのは最近記憶にない。
そんな目覚めの重い頭とボーとした目でシクラメンにレンズを向けた。
優しい顔のシクラメンと、雪の中の鳥たちと、酔い覚ましの茶を飲む私。
シクラメンうたふごとくに並びをり (西村和子)