年いよよ水のごとくに迎ふかな (大野林火)
木村武山の「墨竹」を床の間に掲げた。
今年は静かな正月の朝である。
朔太郎に「竹」という詩がある。
光る地面に竹が生え、青竹が生え、
地下には竹の根が生え、
根の先より繊毛が生え、
かすかにけぶる繊毛が生え、
かすかにふるへ。
かたき地面に竹が生え、
地上にするどく竹が生え、
まつしぐらに竹が生え、
凍れる節節りんりんと、
青空のもとに竹が生え、
竹、竹、竹が生え。 (萩原朔太郎「月に吠える」より)
一年を通しての青々とした生命力、節をとじては節を伸ばすたくましさ、そしてそのしなやかさ。
ひたすらに不器用にただまっすぐに上へ上へと伸びる。
自らの心にも、自らの働きにも、自らの学びにもそんな竹の姿を求めよう。
元朝の空に冴ゆる七つ星 (文)

茨城五浦日本美術研究所で絹素に親しむ美術院四天王
手前から木村武山、菱田春草、横山大観、下村観山
岡倉天心の傘下、食うや食わずの苦しい時をともに過ごした若き日の四人である。