
ピンクノックアウトはこうして毎年甘い香りを届けてくれる。
通る度に私は鼻を寄せる。
「ああ~」
ここ数年、株が弱ってきたのがわかる。
枝と枝に隙間ができ、花数も少なくなった。
植えてからもう20年以上にもなるのだろうから仕方ないことだとは思う。
思えば私も、瑞々しい苗木で来た時の君と同じようにその頃は元気だった。
互いに幹に苔が生えそうになってきているが、無理せずにできることの一所懸命でいこう。
何事も終わるときは必ずくるのだから、自然のありのままで。
さて、もう一度吸うか。
「うん、うん、いい」
薔薇に言葉があるのなら私をどう思っているのか聞いてみたい六月四日 (居山聞涛)




