トチモチ(栃餅) ~「ちょっと苦いかもしれない」~
- 2022/01/31(Mon) -
とち餅1

「こんにちは~」と元気な声がした。
穂波さんだとすぐわかった。
「とち餅作ったのでどうぞ」と。
「めずらしい。栃の実ははどうしたの」
「清人君が拾ってきてくれたの」
穂波さんは年上のご主人を君付けで呼ぶ。
若い頃からずっとそうらしい。
「ちょっと苦いかもしれない」
「あがっていかない?」
「まだほかにも配りに行くので、これで」
袋には薄茶の切餅が六つ入っていた。

家人が買い物から帰ってきた。
一つずつ食べた。
たしかに少し苦かった。

一月も終わる。
なぜか長く感じた。

   裸木の梢はなべて白みたり高きに向かふ風になぶらる  (恵)


とち餅2

とち餅3
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