
レオパが脱皮中だった。
大部分は脱げているが、顔の周りや胴と脚の一部はまだ残っている。
それを口で引き剥がすようにして食べる。
そして「おいしかった」というかのように赤い舌をペロペロと。
年に何度も脱皮するが、そのちょうどのタイミングだった。
妹のレオコはそばで静かに見ている。
レオパードゲッコウはヤモリの仲間で、とてもおとなしく世話がかからない。
そして見かけによらず丈夫で、餌がなくなりそのまま一週間食べずにいても元気でいる。
健康でこれまで病気らしい病気をしたこともない。
レオパが我が家に来たのは15年ほど前。
人間に換算すればすでに後期高齢者の域に入るが、体型はその頃とあまり変わっていない。
レオコは5年前の秋に。
実は私達はいまだオスかメスか知らずにいるが、勝手に女の子ということにしている。
以来二匹は狭い一部屋に同居し、互いを尊重し合いながら仲良く暮らしている。
一番の濃厚接触者は家人。
エプロンのポケットに入れて仕事したり、左の掌に乗せて、右手でコーヒーを飲んだり。
両手で持って首の下を指先でこちょこちょしながらテレビを見たり。
時々、チュッチュッとも。
もっとも、彼等はほとんど反応することはなく無表情。
気持ちいのか、いやなのかよくわからない。
そういえば今年初めての脱皮。
「脱げましておめでとうございます」
霜柱踏めばさくさくくづるるを心明るく年賀に急ぐ (松)





