
鼻をつくような栗の花の特有な匂いが広がる。
雄花の付け根には小さな雌花、イガにも似たその姿を少しずつ大きくしている。
白い紐のような雄花は風吹く度に落ちていく。
先に落ちたのはすでにその色を褐色に変えて地に横たわる。
毎朝ハサミを持って棲み着くシラガダイジンを探す。
彼らはすごい食欲で気を許せば一枝の葉を食い尽くす。
先年はそれで枯れた枝が何本にもなり、この木を瀕死状態に追いやった。
今年退治したシラガダイジンは数え切れない。
そうして栗の木を眺めていると雄花に蜘蛛が遊んでいるのが見える。
脚が緑色に透き通った小さな蜘蛛だ。腹部はやや白い。
アオオニグモだろうか、花に紛れるようにじっとしていて可愛い。
そこには彼を惹きつける何があるのだろう。
花栗に寄りしばかりに香にまみる (橋本多佳子)