
作業用の防寒手袋を買いに出かけていた。
帰ってくると玄関にレジ袋が二つ置いてあった。
それぞれに塩ふきべに芋と白ワインが入っていた。
誰が来たんだろう。
部屋に入りラベルを見ると、松本市と塩尻市。
それはもしかして…、たぶん。
近くに住む一人暮らしの義姉に電話する。
そして、やはりそうだった。
「窪田空穂記念館に行ってきたの。留守だったから置いといた」
「ありがとうございました。今度家で夕食会しましょう。14日の土曜日は空いていますか?」
「予定はないので、行くね」
その時にいただいたワインも開けよう。
庭の片隅、カリンが落ちて転がっているそばにキノコを2本見つけた。
野菜を洗ったりする時によく使う外水栓のすぐ近くにあるのにまったく気がつかなかった。
堅そうな傘は赤褐色で艶があり、黒褐色の軸は枯枝のよう。
その特徴からそれは不老長寿のおめでたいキノコと知られるマンネンタケ。
何か良いことがあるか。
忘れゐし師走の用を又一つ (松尾緑富)


