
作業の手を休めて、気分転換に庭に出る。
桧扇に膨らむ蕾が見える。
今年はもう咲かないのだろうと思っていたのでうれしい。
鈴蘭には赤い実が一つ。
種がこぼれて増えてくれるといいが。
縁台のある方へ回る。
ほかの所よりだいぶ遅れて桔梗に2輪の花が咲いていた。
月下美人の蕾も少し大きくなっている。
おや、その後ろ姿は…。
雨蛙が広い葉の上にちょこんと座っていた。
正面に移動する。
修行僧のような穏やかな表情。
顔を近づけても泰然として。
さらに別の位置に移動しようとしたその時、思わず手が蕾にあたり一つ落ちてしまった。
葉が揺れても雨蛙は同じように坐ったままだった。
部屋に戻ることにした。
雨蛙飲まず食はずの顔をして (右城暮石)



