
このところ、庭から届く蝉の声が一段と大きくなった。
地面のいたるところには蝉の穴があり、その数も日に日に増えているのだからうなずける。
当然、脱け殻もそこかしこに見られ、遊び心で庭中を探して歩いた。
そしてその様子にいろいろと気付くこともある。
例えば、その高さ。
20㎝ほどの葉の裏から、2㍍近い木の幹だったりと様々。
それでも全体的には1㍍よりすこし上が多いか。
脱皮する場所や対象も多様。
月下美人、桜の葉、梅の枯れ枝、笹、金木犀、仙翁、杜鵑草…。
柾には二つが並んでいる。
おもしろいところでは蜘蛛の巣もある。
頭を下に逆さ状態のも。
中で一番多く見られたのは南天の葉で8つあった。
こうしてみるとどうやら場所や高さはあまり関係ないらしい。
たまたま穴の上にある安全な“何か”ならいいのかもしれない。
それにしても生まれたばかりのか弱い蝉に、硬い土に穴を開ける力があるのが不思議だ。
きのうはミンミンゼミが加わるのも初めて聞いた。
猛暑はこうしてうるさいほどに聴覚を通しても入ってくる。
空蟬やいのち見事に抜けゐたり (片山由美子)









