白梅 ~梅の咲いている日~
- 2008/03/12(Wed) -
黄筋白梅


陽に当たる白梅を見ていると、いつか読んだ井上靖の「梅の咲いている日」 という文を思い出した。

庭にただ一本ある梅の木が白い花を付けていた。私は初めて娘を嫁がせる父親の落ち着かない気持ちでそれを眺めていた。
どれだけ時間が経った時であったろうか。長女が部屋にはって来て、梅がきれいね、そんなことを言ってから、ふいに改まった口調で、「長い間、いろいろご厄介になりました。有り難うございました。では、これから家をでますので」と言った。(略)
「では、ご機嫌良く」そんな言葉しか、私の口からは出なかった。(略)
私は再び書斎の縁側に出て、籐椅子に腰を下ろした。こんどは梅の花の白さがさっきまでとは少しだけ異なったきびしいものに感じられた。 (「わが一期一会」〈別離-梅の咲いている日〉より)

父がいなくなった今、私の白梅も寂しさを感じさせる。

白梅の真中はいまも父の椅子 (波多江敦子)
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コメント
こんばんは!
花はその時の気持ちによって
見方が変わります。
私も父が亡くなったとき
朝顔が物悲しくみえました

取材に
長崎の吹きガラス工房に行ってきました!
天気がよくてガラスと光が融合して
とても綺麗でした!

2008/03/12 21:25  | URL | 薄雪草 #-[ 編集] |  ▲ top

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