
パソコンである哲学者とその著について調べていた。
と、チャイムが鳴った。
出るとスーツ姿の南原さんだった。
「年始のご挨拶に伺いました」と。
そして小さな包みを。
家人はいないがあがってもらった。
お茶を入れ、干し柿を出した。
高校受験を控えた中学3年生の娘さんの話題など。
将来、県内で小学校の先生になりたいと、その先はさらに教育学部のある国立大学を目指しているという。
明確な目標を持って真っ直ぐに努力している様子。
「実現できるように見守り、サポートしていきたいと思います」と親の顔で話す。
20分ほど経ち、「ではまたお伺いします」。
部屋の中では“森のくまさん”という矮性の黄色いシンビジウムが咲いている。
可愛い名だが、でもなぜこの名なんだろう。
風もなく、陽たっぷりの穏やかな冬の一日だった。
清貧の家に客あり蘭の花 (正岡子規)


