
土曜日、朝までの雨も上がり、庭に出る。
そろそろ月下美人を中に入れようかと。
鉢に手を掛けようとして目に入ったのは一匹の雨蛙。
広い葉の上に静かにちょこんと坐っている。
雨が降る時分からそこに居たのだろうか、上の葉が張り出してちょうど屋根のようになっているその下に。
私が顔を近づけても動かない。
前方に回ってみる。
体からも顔からも力が抜け、安心しきって心地よさそう。
それは見る私までをもいい気分に導く。
鉢を移動することは少し先に送り、彼には心ゆくまでそこにいてもらおう。
寒さも進み、土の中で眠りに就くのもそう遠くないはずだから。
雨蛙飲まず食はずの顔をして (右城暮石)



