
「彫刻展を一緒に見に行きませんか?」
二紀会に所属する絵画のH女史からそういう誘いがあったのはしばらく前のこと。
やはり絵画で春陽会のM氏と、新制作で彫刻のN氏、そして私の4人だという。
喜んで参加させて頂くことにした。
それぞれの都合が整った昨日、近くのインターから高速に乗って飯山市美術館を目指す。
目的は『米林雄一彫刻展~宇宙への眼差し~』。
米林先生(二紀会理事)の院生から東京芸大名誉教授の今日に至るまでの80点余が並ぶ壮観な個展である。
事前にH女史が信濃町に居住の先生に連絡を取ってあって、会場まで来て下さった。
団体客が出ていった後だったので、貸し切り状態の中で先生のギャラリートーク。
ほぼ全作品について、制作意図から、表現方法、素材の具体を丁寧にお話しいただく。
ただ作品を見るだけでは分からないそこに込められた作家だけのさまざまな思いと芸術哲学を穏やかに語って下さる。
そのスケールの大きい構想と静かだが迸る強固な情熱に感銘を受ける。
先生からは展覧会のカタログとポスターまでプレゼントして頂き恐縮。
表現の奥深さに触れた晴れやかさと突き動かされるエネルギー感じて館を出る。
そしてなにより先生の紳士的で温かなお人柄に。
3人の表情の中にも同様に満たされたものを見る。
つづいて高橋まゆみ人形館に足を運び、松本市美術館で太田南海展を観て帰路に就く。
天候にも恵まれ、芸術にどっぷりと浸った秋の一日だった。
声を掛けてくれたH女史に感謝。
美術展夕焼小焼の帰り道 (藤井美代子)
