
この春のある日、その書名と著者名を目にした時、読みたいと思った。
『センス・オブ・ワンダー』(レイチェル・カーソン著)。
注文した。
さほどの日数もなく届いた。
すぐに開いた。
子どもたちの世界は、いつも生き生きとして新鮮で美しく、驚きと感激にみちあふれています。
残念なことに、私たちの多くは大人になるまえに澄みきった洞察力や、美しいもの、畏敬すべきものへの直感力をにぶらせ、あるときはまったく失ってしまいます。
もしもわたしが、すべての子どもの成長を見守る善良な妖精に話しかける力をもっているとしたら、世界中の子どもに、生涯消えることのない「センス・オブ・ワンダー=神秘さや不思議さに目を見はる感性」を授けてほしいとたのむでしょう。
この感性は、やがて大人になるとやってくる倦怠と幻滅、私達が自然という力の源泉から遠ざかること、つまらない人工的なものに夢中になることなどに対する、かわらぬ解毒剤になるのです。
わたしたちの多くは、まわりの世界のほとんどを視覚を通して認識しています。
しかし、目にはしていながら、ほんとうには見ていないことも多いのです。
見すごしていた美しさに目をひらくひとつの方法は、自分自身に問いかけてみることです。
「もしこれが、いままでに一度も見たことがなかったものだとしたら?もし、これを二度とふたたび見ることができないとした ら?」と。 (部分を抜粋)
その日のうちに読み終えた。
書架に入れて大切に残す本となった。
片栗の花も咲いた。
たとえば少女のスカートが風に煽られて翻るようにして。
その周りに桜の花びらも舞い落ちる。
かたかごの花の辺ことば惜しみけり (鍵和田秞子)



