
目覚めれば雨音。
暖かい朝。
土の下で出番を待っている草花の芽たちはこの雨をさぞかし喜んでいるにちがいない。
「さあいくぞう」と声を掛ければ、「いきましょう。いきましょう」と合いの手を入れて。
雨が上がると庭のいたるところで新たな花の姿を見つけることができるはず。
早朝のしじま、一人の部屋には君子蘭がある。
鮮やかなオレンジの花がまとまり咲く。
数えれば一つの花茎に花はどれも9輪ずつ。
濃い緑色の葉との色取りが相互を引き立てあう。
鉢の中がだいぶ窮屈そうだ。
さらに一廻り大きな鉢に替えてやろう。
「喜びにも悲しみにも、花は我等の不斷の友である」と述べたのは岡倉天心。
私も動ける限り花を友としたい。
君子蘭の鉢を抱へる力なし (阿部みどり女)

