
土起こしをした。
一匹の蚯蚓が出てきた。
出てきたというより、土の中から掘り出されたというのが正しい。
突然、湿り気のある静かな闇から陽光浴びる地上に引っ張り出されて彼も仰天していることだろう。
「起こしてごめん。おどろいた?」
鍬を止め、しばらく動きを眺める。
ゆっくりのそのそだ。
急に目覚めさせられ、さすがに鈍い。
ちょっと気の毒。
早くジャガイモの畝を拵えなくては。
マスクしているのに目は痒いし、鼻水は出るし、くしゃみはひっきりなしだし。
5月初旬の気温だったという。
だんだんにクリスマスローズも開いていく。
ひそめたる命の気配春の土 (稲畑汀子)


