
“老い遅れ”とは作家黒井千次さんの言葉。
昨年の今頃読んだ雑誌の中にあった。
年齢が進めば、だんだん老人になる、衰えてゆくのは自然なことで、逆らってはいけない。
というか、逆らうことは本質的にはできない。
あっちが壊れ、こっちが壊れたりするのは辛いことではあるけれども、それが自然だとしたら、受け入れてゆくより仕様がない。
そのほうが人間らしいんじゃないでしょうか。
その逆の格好で、老いるべきときに老いていかないと、それは何か欠けていることになりはしないだろうか。
静かに、間違いなく老いてゆく。
それを課題に老年を生きるのなら、“老い遅れ“に気をつけたほうがいい。
負け惜しみではなく、そう自分に忠告したいわけです。
理想をいえば、健やかに老いてゆくというのが一番だと思います。
寒さ極む中に梔子の実がある。
実りを成して熟すもなお黙考するかのように。
年齢は常に初体験、健やかに老いてゆく…と自分へ。
冬深き志野の湯飲みの肌ざはり (大場美夜子)
