
連休は、いい秋日和だった。
遅くなったが、苦瓜とインゲンと琉球四角豆の棚を片付けた。
着替えてお茶を飲んでいたその時、電話が鳴った。
「もしもし…」
今年4月に“子ども食堂”を立ち上げた山岡さんのお母様からだった。
町の人々にも認知され、順調に利用者が伸びて活況を呈しているようである。
6月になって「食材となる野菜を自分達で育てててみたい」ということで相談があり、私の畑の半分をお貸しした。
しかし、あれこれと忙しいようで手が回らず、畑としての形になることなく放置されていた。
そして電話である。
「この時期にできる野菜は何かありますか?」
そう、山岡さん家族はこれまで野菜を育てた経験がほとんどない。
それゆえ、苗植えや種蒔きの適宜を把握できていないようだ。
とりあえず私の畑に来て、大根など、今育っている野菜の現状を見ていただくことにした。
植わっていない2畝はこれから先に玉葱と豌豆を植えることなども話す。
大根とターサイとほうれん草、それに春菊と小松菜の種は私が蒔いた残りがまだ十分あるので提供する。
発芽気温は20℃~25℃、この時期ぎりぎりのタイミングだが…。
急遽午後から一緒に畑作業をすることにした。
また作業着に着替え、支度をして、農具を用意する。
苦土石灰と堆肥だけは施してあるという。
しかし畝ができていない。
当然のことながら作ったこともない。
私が鍬で土を寄せ、レーキで整えて6つ作り、最後の一つは山岡さんのご主人に任せる。
種を手にとって実際にやり方を見せつつ説明する。
いよいよ親子3人で初めての種まき。
楽しそうに、そして真剣にやっている。
一箇所にかたまってしまったりする箇所が多く見られるが、これも経験だと。
水遣りや間引き、土寄せなど、このあとの作業について話す。
“子ども食堂”に自分で種を蒔き、育てた野菜が料理となって出される…、その思い。
うまくいくように様子を見守りたい。
タチバナモドキに柿のような小さな実がたわわになっている。
鳥たちにとっても、うれしい季節。
天上の声の聞かるゝ秋うらゝ (野田別天楼)

