
月見草は夏にいくつか咲いた。
それは夕刻だったり、あるいは明るくなる前の朝に少しずつゆっくりと開いた。
その花の時はとても短く、哀れと儚ささえ感じさせる。
季節は進み、その存在をすっかり忘れてしまっていた。
その姿が昨日一輪あった。
ひんやりとした秋の早朝なのに、と思いつつも嬉しくなった。
しばらくの後、作業の手を休めてお茶を手に再び見ると閉じ始めていた。
そして、午後になると白い花は色をピンクに染めて萎んでいた。
蕾がまだ一つある。
これもきっと今日か明日のうちだろう。
朝か夕のいずれになるか…。
開くとき蕋の淋しき月見草 (高浜虚子)


