
内側に赤褐色、外環に黄色の花はガイラルディア。
植えてからもう10年近くなる。
それからこうして毎年、暑いこの時期にたくさんまとまって咲く。
実は植えた折にはこの花の名前を知らなかった。
いろいろと検索し調べる中で、それがガイラルディアであり、和名に天人菊とある事が分かった。
そして別に「特攻花」と言われているとも知った。
忘れぬように短い文にして残しておいた。
昭和20年夏の夜明け、喜界島からは多くの若者が沖縄へ向け飛行機で飛び立った。
島の娘達は彼ら特攻隊員等に花を手渡し見送った。
花を道連れにするのは忍びないのか、ある者は窓から落とし、ある者は滑走路にそっと置いたという。
決意の若者へ、娘の祈りともに渡されたのが「天人菊」であった。
「お母さん」と叫びながら搭乗していく若者達は、程なくして「天人」になった。
今、その島では当時のままにその花が咲き続けているという。
そんな悲しい歴史を伝える花である。
周りをやさしく包む黄色は島娘、中の濃い赤は覚悟の若者…。
八月、そんなことを思いながら風に揺れる花を見る。
いつまでもいつも八月十五日 (綾部仁喜)

