サツキ(皐月) ~突然のことを受け入れられず~
- 2017/05/17(Wed) -
サツキ171

義理の叔母を見舞いに行った。

高齢で一人暮らしだった。
春先に風邪をこじらせたといって、受診のため近くの病院に行った。
そこで倒れた。
脳梗塞だったという。

病院の中でよかった。
もし家だったら、そのまま動けず、誰にも知られなかったかもしれない。
卽入院ということになった。

すぐに見舞いをと思ったが、諏訪に住む娘さんによると、今はだめということだった。
それは病状に因るものでなく、叔母自身の気持ちからだった。
話せず、歩けずになったそんな姿を見せたくないということだ。
それまで何もかもすべてを一人でこなしてきた気丈な叔母、その現実を受け入れられないのだ。

待つことにした。
そして、「気持ちが落ち着いたようですのでもう大丈夫です」と。
入院してからすでに三ヶ月以上が経つ。

ちょうどリハビリの最中だった。
あのふくよかな叔母の顔は半分ほどの大きさになっていた。
それは入れ歯がなくなっていたこともあるかもしれないが、明るく元気なしゃきしゃきの姿からはあまりにも変わっていた。

私たち二人の顔はすぐに分かったようだ。
わずかに動く目で見つめて頷く。
それは嬉しさと悲しみが入り交じった表情にも見えた。
こちらの話していることはほとんど理解している。

あまり、時間を取ってはいけないので、お暇することを伝える。
すると、叔母の目が潤んできた。
「また来ますからね」と手を握ると、首が少しだけ上下に振れる。

このままずっと入院(あるいは介護施設への入所)ということになり、もう自宅に戻ることはかなわないと思われる。
精神はしっかりしているだけに、叔母の辛さといったら…。

さつきが咲く。
叔母は俳句と花好きである。

   濡れわたりさつきの紅のしづもれる  (桂信子)

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