日本民藝館 ~『柳宗悦と民藝運動の作家たち』展~
- 2017/01/11(Wed) -
日本民芸館3

かねてよりどうしても訪ねたい所があった。
目黒の東大駒場キャンパス横にある日本民藝館だ。
それがさる成人の日、この何年も前からの行きたい見たいの思いがようやく叶った。

新宿から渋谷に出て、井の頭線に乗り換え駒場東大前駅で降りる。
西口から閑静な住宅街を7分ほど歩けば、いかにも一昔前の佇まいを見せる白壁の大きな建物が目に入る。
道を挟んで対になるように左に西館、右に本館が建つ。

大きな引き戸を開くとそこは広い石敷になっており、その先の黒光りする上がり框で靴をスリッパに履き替えて入る。
10時の開館時間を少し過ぎたところで入館したが、すでに10数人の靴が並んでいた。
あとからも人の姿は途切れることなく、ことに外国人の姿が目立つ。
彼らもまた柳の主導した民藝運動の奥深さを知って訪ね来るのだろう。

「順路は特にありませんのでご自由にお好きなところからご覧下さい」と受付の方からの案内。

バーナード・リーチ、河井寛次郎、濱田庄司、棟方志功、芹沢銈介等々、斯界の巨人たちの作品が贅沢なほどずらり並ぶ。
その充実した所蔵品や展示等は様々に得られる情報から頭にはイメージ化されてはいたが、目の前にしてただ息をのむばかり。
「この作品なら飾りたいわ」
「こっちの方が形がいい」
連れ添う家人達は口々に軽薄な評価をしては見ている。
ほとんどが人間国宝級だということは微塵にも頭にはない。
「うちにもこんないいのが欲しいね」
何を言っているのだろう、作家の質とレベルが丸っきし違うということは、お金の問題でもあることに気づいていない。
そうした会話に少しの恥ずかしさを覚え、いくぶんの距離を置いて先を進む。

あの作品この作品に触れてその感想を記したいのだが、なにせ館内は撮影禁止。
目を凝らして内なるシャッターを切って頭のファイルに収めるしかない。

二階には壺屋焼の金城次郎の作品や平良敏子の格子文芭蕉布など、沖縄の工芸家の作品も並ぶ。
「うちにも金城次郎の作品があったよね」
「そう、魚のやつね」
よく覚えていたもんだ。
たしかに魚文の小壺が一点、昭和51年頃手に入れたと記憶している。

作品を撮れないので、窓の外の壺のある風景をシャッターに収めることにした。
その風情がまたよく、いい絵になる。
全体を見終え階下に降りて、今一度第1室「柳宗悦の仕事」を見る。

靴に履き替え門を後にした時家人がぽつりと言う。
「良かったね。気に入った。また来よう」
そう、何時の日か、西館も観覧できる水曜か土曜の日にあらためて来ようと思った。
所蔵品は言うまでもないが、登録有形文化財の建物や微に細に技を駆使した家具調度品に触れるだけでもその再訪の価値はある。

新宿に戻り、蕎麦のある店を見つけて入る。
それぞれ違うのを頼む。
会計を済ませて、外に出て10歩ほど歩を進めたほぼ同じタイミングで言葉を口にする。
「美味しくなかった」
「だめだったね」
きれいな店で客も多かったのにと、首を傾げる。

高速バスに乗って家路に就く。
諏訪辺りはかなりの雪が降ったようだ。
着けば留守していた家の庭にも多くの雪が地を覆っていた。

   一月の汚れやすくてかなしき手   (黒田杏子)

日本民芸館4

日本民芸館6

日本民芸館1

日本民芸館2
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