
強い雨音に目が覚めた。
今もかなり降っている。
暮れもおしせまるこの時期の雨は珍しい。
寒気が緩んでいるのだろう。
部屋に鉢植えのシクラメンがある。
薄紅色を白が縁取る。
12月の初め頃から咲きだした。
これは去年買い求めたものである。
花が終わったところで春に外へ出しておいた。
そのうち葉もすっかりなくなって見る影もなくなっていた。
夏になり小さな葉がぽつぽつと出てきた。
生きている。
秋に入ると葉が茂り始めた。
もしかしたら咲くかもしれない。
鉢カバーをして中に入れた。
そして今に至る。
少し前にラジオで「シクラメンのかほり」について語っていた。
シクラメンはあまり香りはない。
そしてもし香りなら「かおり」あるいは「かをり」と表すべきではないかとの指摘があったと。
ではなぜ小椋佳はそんなタイトルを付けたのか。
実は「かほり」は彼の奥さんの名前であり、そこからの名付けだと言う。
妻を思い浮かべつつ…。
そうだったのか。
私のシクラメンは店で売っているように花の高さや形が整わず不揃いである。
でもそこがいい。
ありのままだ。
花の中を覗けばまだ小さい蕾も多く見られる。
これからも順次咲いてくれるのだろう。
私はこの花になんの名をつけよう。
独り居のときに寧しやシクラメン (小澤菜美)




