
「おるかな」と、小松さんが訪れたのはたそがれどきだった。
「ユズを切ったで」
「二つぽっきりだがな」
レジ袋の中には枝葉付きで黄色い柚子が二つ。
「あったまりないよ」と言ってすぐに踵を返す。
「南瓜持ってきて~」
「どっちの」
「白いのはまだ持つから、日本カボチャの小さいほう~」
包丁で四つ割りにして種を取り、料理に使う大きさに切る。
「ありがとう」
マヨネーズを乗せて夕食に出る。
深い溝を刻むその味のある形の日本南瓜は造型のモチーフとしても魅力的である。
あたたかい、そしてあたたまる冬至であった。
柚子湯して柚子とあそべる独りかな (及川貞)

