
一休みをして本を読んでいたんです。
すると突然に鳥の声です。
大きな声からすぐに鵯だと分かります。
窓の外を見ると、柿の木に1羽がいました。
ピーッピーッピーッ。
周りを見渡しながら嘴を大きく開いて鳴きます。
何かを主張しているようにも聞こえます。
他の鳥を威嚇しているのでしょうか。
それにしても近くでうるさいのです。
向こうからも私の影も見えるはずです。
気遣って、少し静かにして貰うとありがたいのですが。
着信音が鳴りました。
「こんにちは、森です」
「ああ、しばらく、お元気ですか?」
「今職場で仕事をしています」
「日曜日で休みじゃないの」
「ええ、でも仕事が溜まっていて。4月から旦那が単身赴任になって。今日は戻ってきているので子どもを預けて」
小学生と保育園のお子さんの母親です。
朝の送りと夕方の延長保育や児童館への迎えと、一人で子育てと仕事の両立で大変のようです。
「いろいろあって、また伺って話を聞いて貰います」
「都合の良い日にいつでもいいから」
電話が切れて外に目をやると、鵯はいませんでした。
静かになりました。
でも再び本を開くことはやめました。
切り替えて、部屋の整理整頓と掃除の続きをすることにしました。
青空が広がる12月の日曜日のことです。
寒禽のこゑ木立から水面から (星野恒彦)


