
一人の静かな時間。
書き留めた言葉などを読み返す。
ひろさちやさんは説く。
おいしいものを食べることと、おいしくものを食べることとは違う。
たった一字だがその違いは大きい。
おいしいものを食べようとすると金がかかり、場所も選ばなければならない。
だが、おいしくものを食べようとするにはそんな心配はない。
高級レストランへ行かなくても、家族みんながその気になればすぐにおいしく食事ができる。
同様に生き方にも発想の転換をすればいい。
楽しい人生を生きたいと思うのでなく、楽しく人生を生きたいと思うことだ。
これもたった一字の違いだが、この逆転の発想をすれば、きっと肩の荷が下りたような気になり、気持ちが楽になる。
そう考えると毎日の生活が楽しくなる。
どんな人でも工夫次第で人生を楽しく生きることはできる。
貧しい人は貧しいままで、失業中の人は失業のままで、人生を楽しく生きることができる。
今ある自分は今ある状態でしかない。
自分の不幸を嘆き悲しむより、その状態で楽しく生きるようにしよう。
それがうまい生き方だ。 ―(ひろさちや 『ほどほど人生論』 より)―
心で分かっていてもなかなかうまくいかないが。
そうつとめる。
冬は心の根を張るとき。
紅葉の檀に夕日が差す。
木枯らしに夕日浮かべる信濃口 (飯田龍太)


