
我が家の庭のその先は川だ。四つ五つと歩を進めればもうせせらぎが目に入る。そこからそれぞれの季節の川音が一年を通して耳に入る。夏は涼やかな風を運び、冬は氷の芸術を見せてくれる。
そんな川にいろいろな鳥も来て、目を楽しませてくれる。セグロセキレイもよく来る鳥の一つだ。
姿形はハクセキレイと極めて似ている。しかし、ハクセキレイは額と顔が白く、黒い過眼線があるのに対し、セグロセキレイは顔が黒く、白い額と白色のよく目だつ眉斑があるので区別が付く。何より違うのは英名にJapanese wagtailとあるようにセグロセキレイは日本特産種(固有種)であるとういうこと、つまりは日本以外では見られない鳥だ。
セキレイの仲間は尾を上下に振る特徴があるが、これもそれに違わず、見ていると石の上を跳ね渡ったり、水に入ったりしながら尾を盛んに振っている。別名、石たたき・庭たたきと言われるゆえんである。さらに古くは日本書紀にイザナギの神、イザナミの神に「みとのまぐひ」(婚姻・交合)の道を鶺鴒が尾を振って教えとあり、そこから嫁鳥(とつぎどり)、嫁教え鳥の名も生まれたいう。
水は冷たい。それでも彼にとっては水生昆虫などがいるそこが好みの場所なのだろう。
鶺鴒の尾を振りきそふ早瀬哉 (尾崎紅葉)