ツルバラ(蔓薔薇) ~松茸の味噌漬け~
- 2016/11/11(Fri) -
松茸の味噌漬け

「こんにちは~」
大きな声がドアを開ける。
頭に手ぬぐいを巻いた小松さんがビニール袋を手に持っていらっしゃる。
「ほら、松茸」と、差し出す。
「えっ、松茸?」
「今日、林檎の出荷を終わってから山にちょっと出掛けたら大きいのが2本採れたもんで」
「今頃でもまだ松茸が採れるんですね」
「去年は40本ばかあ採れたんだがなあ、今年は9本だけな」
「そんな貴重なものをいただいていいんですか」
「いい、いい~。今フーちゃんところにも分けたとこよ」
「違う『城』に行ったんな。そしたら松の根元に頭が見えていて、大事に掘って掘って長さが20㎝ばっかさ」
「木の反対側にもう1本あってさ、これはそろそろいいかと思って抜いたら途中で折れちゃってな」
そして「笠はこんなもんよ」と無骨な掌を広げて見せる。
感嘆するばかりの私。
「味噌漬けにしてあるでな」
「松茸の味噌漬けなんて初めてです。なんか贅沢ですね」
「うまいにい~。汁とかご飯とか焼くとかもいいけどなあ、これはまた一味違うもの」
「どうぞ上がってお茶でも」
「これからまだ一仕事あるんな、贈答用を箱詰めしなくちゃ。じゃあ」と。

本職が大工の小松さんは兼業で梨と林檎を栽培する果樹農家でもある。
きさくで面倒見がよく、また地区の伝統行事の保存にも取り組まれていて人望があるお方。
感謝感謝でその逞しい後ろ姿を見送る。

見上げるところには赤い蔓薔薇。
近所の温もりの味が手渡し便で届く秋寒の日。

  松茸の香りも人によりてこそ   (高浜虚子)

蔓薔薇161

蔓薔薇162
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