『収穫』(紙細工)  ~茜色の中に~
- 2016/10/29(Sat) -
収穫1

 家族揃っての稲刈り。
 黙々と一つひとつを手で刈り取っていく父と母。
 藁縄で束ねる兄。
 妹と弟はそれを受け取り稲架に掛ける。
 一枚の田をようやく終わる。
 案山子作りは祖父と祖母。
 顔にはへのへのもへじ。
 気がつけば空は茜色。
 稲架の端には麦わら帽子。
 片方の稲の先には赤とんぼ。
 そして腰を下ろす土手には彼岸花。

「秋のができたで、持って行くけど、居(お)るかな」
叔父からいつものように電話。
趣味で制作している紙細工が仕上がったというのだ。

折々の季節の風物詩や情景、生活行事に関わっての作品を作って届けてくださる。
「道が空いていていつもより早く35分ほどで着いたんだに」と。
藍色の縮緬風呂敷の包みを解いて出してくれた箱には「収穫」の文字。
昭和の稲刈り風景。

制作にまつわる話などを小一時間。
「だんだん目がだめになって、細かいのが出来なくなってな」と、90にも近いお歳。
いやいや、その意欲と繊細な手仕事、とてもかなわない。
初めて耳にした“へへののもへじ”の話も。
「私達は“へのへのもへじ”と言って書いていましたけど…」
「あれ、“へへののもへじ”じゃないかな、そう思っていたがな」
調べるとどうやら両方の言い方があるらしい。

時計を見て、「次の作品ができたらまた持って来る」と席を立たれる。
安全運転を願いつつ見送る。

深まり行く秋の素敵な贈り物。

   稲刈れば小草に秋の日のあたる  (与謝蕪村)

収穫3

収穫800

収穫2

収穫5

収穫4
この記事のURL | 日常・おはなし・他 | CM(4) | ▲ top
<<イソギク(磯菊) ~山里に磯の名の菊~ | メイン | ハナミズキ(花水木) ~紅葉を見せるのは~>>
コメント
こんにちは
心温まる、愛情にあふれたすばらしい作品ですね。
私もこういう風に年を取っていけたらいいなと感じました。

>「秋のができたで、持って行くけど、居るかな」
>「道が空いていていつもより早く35分ほどで着いたんだに
「・・だで」「・・だに」は私にとって懐かしい方言です。
故郷の遠州地方でも使っています。

2016/10/29 08:08  | URL | Hudson Terrace #ZeBYuJyY[ 編集] |  ▲ top


叔父様の作品ですね。いいですね~
バックの夕焼けのようなのもいいし、細かな彼岸花・トンボ・麦わら帽子と、邪念のない制作の姿勢がにじみ出ていてほっとしますね。
2016/10/29 08:27  | URL | miya #cFKu0mzQ[ 編集] |  ▲ top


ただもう素晴らしくて・・・
このように年を重ねられて、
何か極みをみせていただいたようです。
叔父様のさらなるご長命を、お祈りいたします。
2016/10/29 09:12  | URL | mimiha #-[ 編集] |  ▲ top


hiougiさん とても素晴らしい贈り物を頂きましたね ♪

細やかな愛情のこもった作品を拝見しまして
思わず胸が熱くなりました。

歳を重ねるのも 悪く無いですね。

老いることは 全く未知の世界ですが
先輩方の行く道を後から歩いて行くのが
楽しみになりました。

ありがとうございます ♪
2016/10/29 16:11  | URL | 優 #-[ 編集] |  ▲ top

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する


▲ top
| メイン |