
隣り合わせた家と畑の境に銀杏の木がある。今は葉をすっかり落として、白茶の色肌した幹から、真っ直ぐに伸びた枝が空に向かって広がる。その裸木を見ると、無駄なく構築された形は、自然の造型としてまた美しい物がある。光太郎が惹かれ、詩に詠んだ理由が分かる気がする。
イチョウの名はそれが中国から日本に入ってきた時、中国名の鴨脚樹(ヤーチアオシユー)をヤーチャオと聞き,さらにイーチャオ、そしてイチョウとなったといわれる。確かに一枚一枚の葉を見ると鴨の脚の形に似ており、なるほどだと思う。併せて、英名のginkgoは、日本からヨーロッパに紹介された折、「銀杏」の音読み(ginkyo) の y を g と誤記したことによるものだとあるから、これもまた楽しい。
そんな銀杏の葉を集めて焼き芋をした。芋は今年収穫した「鳴戸金時」だ。3時間ほど燃やしておきができたところでイモを入れる。2時間ほどして取り出すと香ばしい焼き芋となる。うまくできた。丁度昼時だ。帰省していた息子は「まるで栗を柔らかくしたようだ。この中の透明になった飴色が何とも言えんね」「焼き芋屋のイモとは全然違う。高級和菓子のようだ。これ、東京に持って行けば高く売れるよ」とワイワイがやがや我が家の休日の昼は賑やかな時間が流れる。
銀杏黄葉昨日のことは忘れたい 武井梅仙