都忘れ(ミヤコワスレ・ノシュンギク)
- 2007/11/01(Thu) -
20071101035218.jpg

都忘れという哀愁漂うロマンチックな名を持つこの花、書をひもとくと、山地に自生するミヤマヨメナ(深山嫁菜)が園芸品として観賞用に改良栽培されたもので「野春菊」が本来の名とある。その名のイメージを損なうことのない控えめな薄紫色の可憐な花が、今赤く色づいたウメモドキの下で風にゆらゆら揺れて咲いている。通常は春から初夏にかけて咲く花だが、この秋の佇まいにもよく似合う。もともと野の花だったというだけに、その整った形の中にもどこか垢抜けぬ素朴さ、慎ましさがある。私がこの花と出会ったのはもう15年ほど前になる。それ以来、私の好きな花の一つとなり、こうして語り合う庭の友となった。

この花が咲くのを見ると、室生犀星の「小景異情」の詩と重ねて、私自身の遠き故郷を思い出してしまう。もうだいぶ帰っていないその空と景色は変わったことだろう。

末息子からの柿が届いたことに、年老いた母は「何か欲しいものはないか」と電話の向こうで尋ねる。


都忘れふるさと忘れてより久し   志摩芳次郎

この記事のURL | 日常・おはなし・他 | CM(1) | TB(0) | ▲ top
<<菊(綾衣) ~今年のできは~ | メイン | カンナ(Canna)~黄色いカンナがまた咲いて~ >>
コメント

こんにちは〜
都忘れは家にも何株かあつてとてもすきなお花です。
あるていど咲き進んでもう終わりかな?と思うう頃に、軽くカットするともう一度楽しめます・・♪
2007/11/01 09:40  | URL | sae #-[ 編集] |  ▲ top

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する


▲ top
トラックバック
トラックバックURL
→http://hiougi.blog93.fc2.com/tb.php/289-c442076f
| メイン |