アンズ(杏・apricot)  ~青春の木~
- 2016/03/31(Thu) -
杏161

何かを見て人は何かを思い出す。
人生の中ではそんなモノとの出会いや思い出があったりする。

杏は私にとって青春の木である。

「下宿屋」という言葉は今では死語かもしれない。
老夫婦が営むそれは善光寺裏にあった。
私がそこに引っ越してきたのは学生生活2年目の春だった。

庭に一本の老木があり、それが薄桃の満開の花をつけていた。
その優しい色を私は桜だと思っていた。
学部生活にも慣れた頃の夏、それは黄色い実をつけていた。

或る日の朝食時、腰の曲がった下宿屋のおばちゃんが私に言った。
「木に登って杏の実を採ってもらえますか」
そこで私ははじめてそれが杏の木であることを知った。
遡ってあの薄桃色は杏の花だったことも理解した。
私の採った杏はその日の夕食のデザートとなって、大きなちゃぶ台の上にあった。

いつの日か一家を成した時、私は庭にきっと杏の木を植えようと思っていた。

この花を見る度、そして実を収穫する度、頼りなく生きていたあの頃を思い出す。
杏は私にとってセピア色の思い出を伴う木である。

    花寄せて杏の花の深情(ふかなさけ) (大野林火)  

杏162

杏163

杏164

杏165
この記事のURL | 草と花と鳥と | CM(1) | ▲ top
<<カワヅザクラ(河津桜) ~いくつになっても~ | メイン | ミツマタ(赤花三椏)  ~…ん~ん、香りがいっぱい~>>
コメント

杏の木に寄せる思い。そして、杏の木を植えられて・・
想いが成就されて、そして実がなって・・
よいものですね^^
2016/03/31 08:02  | URL | mimiha #-[ 編集] |  ▲ top

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する


▲ top
| メイン |