
昨日は日曜日に勤務したその振り替えで休みだった。土日と畑や庭の仕事ができなかったので、土や草花にふれて働けるのが嬉しい。夏野菜の残骸や、胡瓜の棚などを片付けた。茄子やオクラはまだしっかり実を付け、これから先も料理に使えそうな顔をしていて有り難い。その後冬野菜用に石灰を撒き、畝を3つ作った。ちょっと遅いがホウレンソウとこれからの鍋にいい水菜と春菊を蒔こうと思っている。レーキで畝の幅や高さを整え汗が少し出てきた頃に、頭上で「ツッツッツッ」と聞き慣れた声がする。思わず見上げた。ジョウビタキがそこにいるではないか。
レーキの柄の先に両手をついて休み、暫く眺めた。すると、いつも側まで寄ってきて楽しく跳ねてくれる彼とは若干と違うことに気づく。目を凝らして見るとあの特徴的な白い三角紋は確かめられるものの、体の色がややくすんでいること、そして若干体躯が大きいことがわかる。そう彼は彼ではなく彼女、雌鳥だった。ということはあの黒い紋付き姿の雄はどこかにいるのだろうか。
それにしても相変わらず人なつっこい鳥だ。私の作業する近くまでやってきてトマトの枝に乗ったり、表面をフラットにしたばかりの畝の上で遊んでいる。そしてまるで私の存在など気にならないかのように、棗の枝先に留まったかと思うと、今度はツルムラサキの下で地面を突っつく。その動きを見ているだけで楽しくなり、時間を忘れる。それにしてもとても嬉しい。いつもやってくる11月が直前、そろそろ来てくれる頃だとその到来を心待ちにしていたからだ。
彼らが春と冬を共に過ごした我が家から北の異国の大地へ帰って行ったのは今年の4月4日だった。それから半年過ぎの再会だ。さあ、しっかりムラサキシキブをお食べ。土の中の虫たちをどうぞごゆっくり腹の中へお運び。そして、春の別れまでまた私の通勤時間を見送っておくれ。
渡り来て鶲一羽となりしかな 島崎秀風