肩で眠る月(船越桂)~姪の結婚式~
- 2007/10/28(Sun) -


雨の名古屋へ姪の結婚式に出かけた。大学で面識はあったものの、会話するほどの間でもなく、そのまま卒業して今年まで16年間それぞれ仙台、諏訪と離れて過ごしていたようである。それが、様々な経緯を経て偶然と必然の赤い糸をたぐり寄せてみると、その先を握っていたのが二人だったという、まるでテレビドラマの物語のような結びつきである。 式と披露宴は愛知県芸術センター10階の「華」、愛知県美術館と同じフロアーにある。容貌スタイルすべてにおいてモデルにしたいほどの長身の素敵な二人である。シンプルで、心の温まる爽やかな結婚式であった。新居は岐阜になるという。

 式の予定時刻よりだいぶ早めに着いたので、美術館へ行き収蔵品展を観ることにした。クリムトやゴッホ、マチスなどを経て、広い空間に船越桂の2点の作品だけが展示されている第6室に入る。照明を落とし、作品に弱いスポットが当たるようにして立体感を浮きだたせ、人物の表情に視線を集めるように展示してある。 

「肩で眠る月」は両肩に中世風の家が乗り、正面の顔のその左側にもう一つ小さな顔が付いている。顔は男性のようでもあり、女性のようでもあり、服装も合わせて無国籍的な人物である。大理石を玉眼として嵌め込んだ目は遙か遠くを見つめ、何かを回想しているようにも見える。鑑賞者は目の前の作品を見ながら実は自分の心を見ているような思いとなり、時間を超えて人間の内面性を見る者に深く考えさせる。この作品は1997年の第18回平櫛田中賞受賞作品である。

素敵な結婚式と、久々の船越の作品に触れ満たされた思いで帰路につくと、中央道は事故のため閉鎖され国道から妻籠宿、清内路峠を越えての長い道のりとなった。それもまた、忘れがたい思い出となることだろう。
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