
太宰府には6000本の梅林を維持管理する梅守(うめもり)さんが3人いらっしゃるという。
その中のお一人が梅の花の見方について話されていた。
「桜のように満開の木全体を眺めるのではなく、梅は花一輪一輪を見て楽しんで貰いたい」と。
蕾の一つ、咲きかけの一つ、開いた一つ、その育ちの姿をと。
庭に出て一つ、一つをそのようにして見た。
温もりの陽に応える個々の豊かな表情。
それぞれが違った愛らしく優しく、凜として。
子どもの、若い女性の、しとやかな、妖艶な…。
微笑み返しにも。
ものを見るにはそれに一番適した見方がある。
ものを見せるにはそれを一番生かす見せ方がある。
人やことも同じ、良さを引き出し、良さを見つける。
近づけば向きあちこちや梅の花 (三橋敏雄)



