
ツルムラサキが好きでもう何年も作り続けている。肉厚の葉のぬるっとした独特の食感は、おひたしにしてもいいし、炒め物にしてもいい。味噌汁はもちろんいうまでもない。
栽培が簡単で料理にあまり手間がかからないというだけで作っているが、実際には栄養価がとても高く、胃の粘膜を保護するムチンや血液循環をよくして老化を防いだり、活性酸素を除く働きをする様々なビタミン類、ミネラル、カロテン、鉄分などの栄養素が豊富に含まれているという。舌触りがホウレンソウに似ていることに手伝って、これら体にいい豊かな栄養分があることで、英名でもIndian Spinach(ホウレンソウ)とあるのは頷ける。
原産地とされる東南アジアでは、大昔から食用として栽培され、沖縄でも古くから自生していたという。性質そのものはきわめて強健で、蔓がどんどん伸び、次々と増えて私が建てた2㍍ほどの棚を覆い尽くす。また、こぼれ種から毎年芽が出てくるのも嬉しい。それより何より長期にわたって、収穫できるのがいい。
花弁のない丸い花は赤みを帯びてひとかたまりとなり、そして艶々した黒紫の実へと変化していく。この黒い実も食べられるのだろうか。天ぷらにするといけそうな気がするが、まだ試したことはない。酒のつまみになるようなうまい加工法があればなおいい。