肉筆浮世絵展 ~美の競艶~
- 2016/01/16(Sat) -
美人愛猫図1
葛飾北斎 「美人愛猫図」

肉筆浮世絵展が上野の森美術館で開催されている。
並ぶまでもなくスムーズに入館できたが、中は思いの外混んでいた
滅多に目に触れる機会もなく、どちらかというとマニアックなジャンルかと思っていたが、意外であった。
最近はこうした和文化に造詣の深い外国人が多いということで、その姿も散見される。

~美の競艶~のサブタイトルが付いたシカゴ ウエストンコレクションからの日本初公開の展示である。
江戸初期の寛永年間から大正に至るまでの129点がほぼ時代の順を追って並べられる。

浮世絵の代名詞にもなっている多色摺版画の錦絵は絵師、彫師、摺師の共同作業によって生まれる。
多数に摺られた絵は版元によって一般庶民に販売される。
比して肉筆画は絵師が和紙や絵絹に直接絵筆を執って描き上げた一点物である。
多くの注文主はおそらく財を成した商人かあるいは裕福な武家なのだろう。
今回展示されていた軸物には刺繡などが施され、その豪華な表装から相当に高価であったことが伺える。

一点一点、どれも見逃せないほどの繊細かつ重厚な存在感がある。
時代ごとの絵師の豊かな感性と描写力が存分に発揮された逸品ばかりである。
描かれる美人の周りに配置された小物や、身につけている着物の柄、そしてその仕草に興味を惹かれる。
花魁、禿、遊女、夜鷹など当時の風俗も垣間見ることができる。

歩を進めた中程には3点の北斎、足が止まり、目が釘付けになる。
あらためてこの絵師の凄さを実感する
代表作『富嶽三十六景』やよく知られる『北斎漫画』とはまったく異なるは繊細な美人画。
「美人愛猫図」、その極められた表現力にただ見入る。
奇人と称された北斎だが、天才というに相応しい。

もう一つ、特に印象に残ったのは河鍋暁斎の『一休禅師地獄太夫図』。
骸骨たちが太夫の周りでどんちゃん騒ぎ。
袈裟を着た一休さんが三味引くのの頭の上で楽しげに踊る。
太夫の着物の柄は閻魔地獄か。
暁斎奇天烈ワールドが遺憾なく発揮されていてうならせる。
こちらは変人、奇才、鬼才の魅力。

この二人の肉筆画を見るだけでも出掛けた価値があるというものと納得し、しばしその余韻に浸り合う。
それにしてもこれだけの秀逸なる作品が一外国人の手元に所蔵されているとは、いろんな意味で嘆息しきり。

西郷隆盛像の近くでは民族衣装を着たパフォーマー達がケナーとサンポーニアで「コンドルは飛んでいく」を演奏していた。

   わが胸に旗鳴るごとし冬青空  (野澤節子)

美人愛猫3

一休禅師地獄太夫図
河鍋暁斎「一休禅師地獄太夫図」

一休禅師地獄太夫図1

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コメント
肉筆浮世絵-美の競艶
こんにちは。
こんにちは。
私も『肉筆浮世絵-美の競艶』展を見てきましたので、興味を持って読ませていただきました。葛飾北斎は、美人画の技量もさすがで「美人愛猫図」は見事な作品だと思いました。野澤節子の「わが胸に旗鳴るごとし冬青空」もこのように拡大してみると、興味深いものがありますね。


私はブログで、今回の浮世絵展の展示の流れに沿って、浮世絵の誕生・浮世絵の歴史と肉筆画を中心とした浮世絵の魅力を私なりに整理してみました。読んでいただけると嬉しいです。ご意見・ご感想などコメントをいただける感謝致します。
2016/01/17 17:51  | URL | dezire #HYvbQDAw[ 編集] |  ▲ top

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