
柿を収穫した。自分で植えた木からその稔りを頂けるのは有り難いことである。
柿の木は裂けやすい。足の置き場は慎重にその場を選ぶ必要がある。だいぶ前になるが親戚がやはり柿穫りをしていて枝が裂き折れて落ち、肋骨骨折で入院ということがあった。
びくを腰に巻いて一つずつ鋏で剪る。いっぱいになったら降りてコンテナに空けてはまた登る。それを何度も繰り返す。
玉は少し小さめではあるがコンテナ3箱分の収穫となった。いつもより多めの収穫である。
この富有柿は植えてからほとんど手をかけていない。春先に混み合った枝を剪って日当たりよくするくらいだ。それでもこうして毎年沢山の甘い実を付けてくれる。感謝の意を込めて、今年も木守りとして10個ほど残す。
ここは「市田柿」のブランドで有名な干し柿の産地だ。しばらくすると農家の軒先に柿すだれが登場する。これもまた、南信州の秋の風情であり、日本の美しい風景の一つといえよう。庭にも渋柿が2本あり、これもたくさん実を付けているが、今年は干し柿作りに手が回りそうもない。そんな私の心を見透かしたのか、早速ヒヨドリが来ては嬉しそうな声を上げて突っついている。特に熟柿は彼らにとっては大好物だ。
コンテナを家の中に運び入れ形や玉の大きさを確かめながら、少し枝葉の付いたのを添えて、遠くの母や姉たちに送る。故郷は柿のない町である。