キンモクセイ(金木犀)
- 2007/10/16(Tue) -


手をふれて金木犀の夜の匂ひ 中村汀女

このところ秋も深まりを増し、朝夕の空気は肌をひんやりと感じさせ、朝露に草も重くなる。

キンモクセイ(金木犀)の甘い香りが庭を包むようになった。すっかり暗くなった駐車場に着き、鞄を持って車のドアを開ける私を2本の金木犀が迎えてくれる。

『古今集』の歌人は梅の花について「色こそ見えね 香やはかくるる(闇夜のた め花の色は見えないが、匂いの方は隠れもない)」と詠った。
キンモクセイの花も、例えば夜、姿は見えなくてもその香りに誘われるように鼻を近づけ、手で触ってみたくなったりするほど、それはそこに木犀花が咲いていることを教えてくれる。そして、脳の隅々まで届くような、その甘い匂いの金木犀には人を日常から解き放ち、無防備にさせ、垣根を取り払いすべての心を許す優しさに包みこむような、不思議な魅力がある気がする。

 胸の奥 たしかめにくる 木犀花 伊藤敬子

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