
窓の外で少し変わった鳥の鳴き声がする。
ケキョクキョカキョケキョクキョ。
音の高さや響きの様子は似ているぞ、もしかしたら…。
そう思って見ると、いたいた。
鴬だ。
またケキョクキョカキョケキョクキョと。
リズムも音程の取り方もまだ喉をうまく使えていない。
彼にとっても長い休みを経てようやくの出番、ただいま発声練習中ってところか。
もしかすると、まだデビュー前の若い鳥なのかもしれない。
遠くに響き渡るあの美しい歌声までにはしばらく時間を要するらしい。
ホーホケキョ、ケキョケキョケキョと伸びやかに軽快に、そのうちそんな独唱が庭に響くのを楽しみにしよう。
それにしても讃えられる声に比すれば思いの外地味な姿の彼である。
うぐひすのケキョに力をつかふなり (辻 桃子)

