
昨日は22度だったという。
五月上旬の温かさだと。
誘われて庭の春を探そうと思った。
くしゃみ鼻水、目のかゆみ。
マスクをしながら、下に視線を向けてそろそろと。
あった。
そこに、あそこにも。
それぞれに違う場所に顔を出していた。
ようやく土を押しのけ、落ち葉をかき分けて。
生まれたばかりの膨らみやすでにだいぶ開いたものなど。
見ようと思って見つけるつもりで見るとあるもんだ。
「フキノトウが出ていたよ」
「どのくらい」
「5つあったけど、どうする」
「夕食前に取ってきて」
「わかった」
そして夕方、食卓には衣に包まれたフキノトウ。
ん~ん、このほろ苦い風味と香り。
一つは小さな器に挿してしばらく目で味わう。
天麩羅で旬の苦きを蕗の薹 (あや)



