
文化のシャワーを浴びに行こう、そう思って2ヶ月ぶりに東京へ。
まずは六本木、国立新美術館で「ルーブル美術館展」。
最初に逢いたかったのは『鏡の前の女』(1515)、ルネサンスのティツィアーノが送り出した美女。
想像してみよう。
豊満でなまめかしい白い柔肌。
甘い香りのするやや縮れた長いブロンド。
玉のように輝く深い色の目。
形の整ったやわらかな赤い唇。
頬は紅潮し、胸もほんのり赤らむ。
男が差し出す小さな鏡で顔の色艶を確かめる。
もう一つ大きな丸鏡を彼女の後ろに置く。
乱れ髪はうまくまとめてセットされているか。
濃密な時間を過ごしたあとの二人。
日常に戻すために入念に隅々まで身を整える。
彼女が左手にするのは、香水?
その手に被さる青い布は何だろう。
右手にはかかっていないから彼女の服の一部ではなさそうだが。
小指の指輪と瓶と青い布、何かしらの暗示か。
そういえば、2008年3月下旬にもティツィアーノ先生の作品に感動したことを覚えている。
あれは国立西洋美術館での「ウルビーノのヴィーナス」(1538年)だ。
愛と美の女神ヴィーナスがそのふくよかな白い裸体をベッドの上で艶めかしく横たわる。
極めて魅惑的、官能的な作品であったことが脳裡にしっかり刻まれている。
戻って鏡の前の彼女、実に美しい。
比して髭を生やした身なりのいい彼、名家のご子息といったところか。
可能なら先生にその表現意図を聞いてみたいものだ。
まあ、それにしても500年以上の前にこれだけの見事な描写。
かなわないね、その画力に脱帽。
出て、新宿の喧噪へ。
東急ハンズで買い物。
田舎では手に入らない洗練された諸々の文化を袋一杯に。
自分なりにうまくアレンジして生かそう。
時々、こうして華やかさに彩られた密度の違う空気を吸うと刺激になっていい。
三月や都会の風にうふふふふ (あや)