
「今度はピーマンはどう?」と言う。
最近は食材を選びながらも、その形が彫刻の題材としてはどうかとも見てくれている。
袋から取り出し、手に持つ。
たしかにどれもこれも彫りを誘う姿をしている。
調理しやすいようにということなのだろう、花柄はすべて切り取られている。
しかし、彫刻にするにはあった方がいい。
作品には花柄を付けて動き持たせるようにする。
榀の木(シナノキ)を選ぶ。
軟らかい材なので、さくさくと刀が行く。
全体の造型が手際よく進む。
胴の中にあるいくつかに分割された膨らみの大きさを確かめながら彫る。
お尻にある3つの丸みを作っていく。
頭部に張り付くようにしてある萼を丁寧に薄くしていく。
柄は長さと太さのバランスを考えて、イメージで創作する。
彫り終わり、両手で撫でてみる。
それらしい感触が伝わる。
水彩絵の具で着色し、最後にナイロン布で磨いて仕上げる。
「いい感じ」
「やはり柄があって正解ね」
「ジャガイモもあるんだけど」
このごろはピーマンも佳いよお母さん (片山花御史)








