
「ホウレンソウを5株ほど取ってきてえ」
そう言われ、庭から畑に回った時だった。
何か獲物を掴んでいる大きな鳥が、いきなり音を立てて飛び立った。
その脚の荷が重いのか、10㍍先の土手に降りた。
ノスリか。
どうやら、足もとでぐったりしているのは哺乳類のようだ。
茶色い毛に覆われ、耳らしきものも見える。
キツネ?野ウサギ?何だろう。
今度は隣家の倉庫の屋根に移動した。
遠くまで運ぶに苦労?
口を付けようとしない。
この獲物をどうしようかと思案している様子。
脚の爪を離し、周りを見渡して、誰かを待っているようでもある。
しばらくしてもう一羽が電線に留まった。
それで(夫婦の)話がまとまったのだろう。
獲物をそのままにして、2羽は何処かへを去っていった。
そうそう、ホウレンソウだ。
鷹去りて毛物残る屋根の上 (あや)



