
「真冬時の気温をすでに下回っています」
「路面の凍結に十分注意をしてください」
「不要不急の外出は控えましょう」
そんな呼びかけが入る。
ちらちらと雪が舞う。
明るさの度合いからいうと薄い灰色と言った方がいい外の景色。
柿の木に一羽のヒヨドリが留まる。
そこにあるのは熟柿。
そのねっとりとした甘みはこの時期の貴重な食糧。
嘴を差し入れ挟み取って喉へはこぶ。
捻るようにまた1口、2口。
そして何処かへ飛び立った。
まだ残っている。
明日も来るだろうか。
風がうなる。
窓が開かない。
凍っている。
寒禽の取り付く小枝あやまたず (西村和子)

