
桜の葉が落ちるか落ちないかと枝に一枚、
「最後の一葉」ではありませんが、なんか愛おしくなります。
彫ってみましょう。
材は桂の板です。
およその輪郭を描き、周りをノコで切り落とします。
平面から立体へ、指先に集中です。
刀を送る力とスピードを調整しつつ、同時にブレーキを掛けながら。
反りやへこみを丸刀で削り出します。
実際の葉の厚みに近づけるように、できるだけ薄くしていきます。
でも、あまり薄いと割れたり裂けたりしますので、そこは丁寧に慎重に。
ときどき、光に翳してその薄さを確かめながら刀を当てていきます。
厚みはほぼいいでしょう。
葉脈を描き、ところどころに虫喰いも入れることにします。
そして葉柄の部分です。
ここは折れないように、印刀でやさしく削って細くしていきます。
強度の点でこれ以上は心配なので止めておきましょう。
最後は縁辺の鋸歯です。
ぎざぎざも入り、これでできあがりです。
「ほら、できたよ」
「え~っ、はっぱみたい」
「………」
「今度は八つ手はどう」
「そうだなあ」
左の人差し指を少し切りました。
深くはありません。
日だまりの枯葉いつとき芳しき (石橋秀野)






