
「やきいもしよう」
「いいね」
私は熊手で落ち葉を集める。
台所では濡れ新聞でくるみ、さらにアルミホイルで包んで準備。
火を焼べる。
およそ1時間、おきができる頃。
芋を入れておきをかぶせる。
さらに1時間。
取り出す。
ところどころに皮が黒くなって、いかにも焼き芋色。
割る。
いい飴色、まさに食べ頃。
やわらか。
ほかほか。
「あちちっ」
「いいかおり」
「うまい」
「この少し焦げたところがいいのよね」
「十三里!」
「なに、それ?」
「栗より美味い十三里だよ」
「わからない」
「…………」
「来週もう一度しようね」
「そうだな」
服と帽子に煙の匂いがたっぷりと染みこんでいた。
畑火よりにほひほのぼの藷焼けぬ (飯田蛇笏)


