
ギンナンが落ちて落ちて落ちて。
ギンナンを拾って拾って拾って。
バケツいっぱいになって。
果肉を取る。
悪臭とべたつく油脂。
そして天日干し。
取りこんではまた天日干し。
繰り返し天日干し。
硬殻が白くなってくる。
「そろそろいいと思うから、50個ほど割って」との声。
「わかった」
割器を出して、新聞を広げる。
少し早い第9を聞きながらのんびりとパチンパチン。
「できた~」
ここまでが私の仕事。
後はお任せ。
牡蠣や豆腐などと一緒に鍋の中に。
串に刺されてツヤツヤの緑。
鉢に分けて取る。
これこれ、1年ぶりの食感。
「今度は茶碗蒸しにするか」
「そうね」
銀杏を水に浸せしよりの手間 (保坂加津夫)



